「深さ」と「スピード」

「アテンション・エコノミー」という言葉もあるように、流通する情報の量が飛躍的に増すにつれて人々の関心が希少な「資源」になってきているということをこの数年よく耳にします。そんなに目新しい話ではないのですが、最近読んだThe Globe and Mailの記事…

デジタル・サイネージとスーパーのブランディング

イオングループのジャスコがレジ付近にディスプレイを設置して販促活動を行う実験を始めるなど、日本のスーパーでもデジタル・サイネージの導入が始まっています。大勢の人が毎日買い物に訪れるスーパーでディスプレイを通じて顧客に直接メッセージを伝える…

広がるTEDのオープン翻訳プロジェクト

このブログでTEDのことを書いたはちょうど3か月前のことですが(こちら)、その時に「最近始まった取り組み」として紹介したTEDのオープン翻訳プロジェクト(英語で行われているTEDの講演にボランティアが他の言語の翻訳字幕をつけて公開するプロジェクト)…

「Ally Mcbeal」のDVDがようやくアメリカでリリース

Video Businessのサイトに、「『Ally Mcbeal(邦題:アリー my LOVE)』のDVDがアメリカで10月に発売される」という記事が出ていました(こちら)。一見、「えっ、今さら?」と思ってしまいます。「Ally」がFOXで放送されたのは1997〜2002年、もう10年も前のド…

Kindleは新聞社の救世主になるのか?

Amazonの電子書籍リーダーKindleは、iPhoneと並んで今アメリカでいちばん注目されている電子機器です。iPhoneとは違って日本ではそれほど話題に上る機会も多くありませんが、アメリカでは初代のモデルが2008年に50万台、今年2月に発売されたKindle 2が4月中…

「強み」と「ニーズ」に配慮したNPRのウェブ戦略

アメリカの公共ラジオNPR (National Public Radio)がウェブサイトの刷新をしましたが、それが音声や動画でなく文字(テキスト)に重きを置いた変更になっているという点が注目されてNew York Timesの記事になりました(7/26付け"NPR Moves to Rewire Its Appr…

シェアで強みを発揮するFacebook

SNS

Silicon Alley Insiderに、「CHART OF THE DAY: How People Share Content On The Web」という面白い記事が出ていました(こちら)。AddToAnyというウィジェットなどを制作する会社が発表したデータをもとに、人々がネット上でコンテンツやサイトなどへのリ…

アナログとデジタルの狭間で

昨日のエントリで取り上げたBusiness Weekの話は、デジタル時代にメディア企業が抱える課題の大きさを示しています。繰り返しになりますが、「ネットを上手に取り入れないメディアは競争に取り残されるけれど、ネットを上手く活用したからと言って必ずしも成…

売りに出されるBusiness Week

Business Weekの親会社McGraw-Hillが、この雑誌の売却先を探しているそうです。Ficancial TimesやSilicon Alley Insiderなどは、なんと売値は「1ドル」ということもあり得るのではないかと報じています。この雑誌の今の赤字状況や短期間に収益力を向上させ…

ツール・ド・フランスとユーザー作成コンテンツ

今年のツール・ド・フランスも中盤から後半に差し掛かろうとしています。日本のメディアでは日本人選手が2名参加することが報じられていましたが、今年はランス・アームストロングが4年ぶりに現役復帰して大会に出場することでも話題になっています。癌を克…

共感の音楽マーケティング-2

音楽のマーケティングに結びつく面白い可能性を持っているなと僕が感じる取り組みがもうひとつあります。Rolling Stone紙による、時代を超えたミュージシャンや楽曲のランク付けキャンペーンです。Rolling Stoneは、1967年に創刊された世界を代表するロック…

共感の音楽マーケティング-1

先日「Playing for Change」の音楽クリップを紹介した時(こちら)に、共感の対価としてお金をもらうという音楽の売り方があるのではないかということを書きました。「Playing for Change」のようにメッセージを広げることを目指すのか、通常の音楽ビジネス…

読んで楽しむウィンブルドン中継

テニスのウィンブルドン選手権が開催されているイギリスでは、BBCがテレビやラジオでの放送に加えてウェブサイトで「文字のみ」による大会中継を行っています。試合経過や会場の様子が観戦リポートのような形で数分おきに次々テキストで更新されるという中継…

動き出す「TV Everywhere」計画

アメリカのケーブルTV事業者(Cable Operator)最大手のComcastがTime Warnerと組んで番組のネット配信実験を始めることが発表されました(Wall Street JournalやLos Angeles Timesの記事を参照)。Time Warnerの傘下であるCable NetworkのTNTとTBSの一部番…

Playing for Change

昨日紹介した「Stand By Me」の音楽クリップは、Playing for Changeという団体が制作したものです。他にも、「One Love」などの素晴らしいクリップが公開されています(Youtube上の公式チャンネルはこちら)。地球上のさまざまな場所にいるミュージシャンたち…

Stand By Me

「Stand By Me」は、僕が子どものころ初めて好きになった洋楽の曲のひとつです。オールディーズ扱いされることもありますが、僕はこの曲はソウル・ミュージックの名曲だと思っています。だから、同名の映画にも使われているBen.E.Kingの有名なバージョンだけ…

"Life's for Sharing"に見るリアルとネットの反響拡大ループ

全然新しい話ではないのですが、"When Consumers Help, Ads Are Free"というNew York Timesの記事(こちら)を読んで、初めてイギリスの携帯キャリアT-Mobileの"Life's for Sharing"という広告キャンペーンのことを知りました。この記事には、ユーザーが自発…

伝統的なテレビのビジネスは立ち行かなくなるのか?

少し前のSilicon Alley Insiderに、「Sorry, There's No Way To Save The TV Business」と題された非常に刺激的な記事が載りました(こちら)。そこでは、地上波ネットワーク局やケーブルテレビに支配された伝統的なテレビのビジネスモデルは動画のネット配…

以前取り上げた話題の「その後」

「こんな面白いことが起きてるんだ」と思ってここで紹介したサービスや取り組みでも、忙しかったり他のことに気を取られたりで、その後の動きが十分にカバーできていないことがままあります。今回は、以前に書いたエントリーの中からそんなものをいくつか取…

「公共新聞」の可能性

先日の日経新聞に、アメリカ議会などで検討が始まっている新聞社への支援策についての記事が出ていました(6/9付け「米新聞社に救済論浮上」)*1。このあたりの議論にはあまり詳しくないのですが、経営支援に向けた検討課題として、税制優遇策の導入に加えて非…

Huluとサブスクリプション

Huluが有料のサブスクリプション制を導入するかもしれないという話題を最近よく目にするようになりました(例えばMedia Postの記事など)。具体的な計画が明らかになっているわけではありませんが、全く根拠のない話でもありません。Huluの親会社のひとつで…

映画「HOME 空から見た地球」(英語版)をYoutubeで見る

世界環境デーに指定されている6/5に世界で公開された*1環境ドキュメンタリー映画「HOME 空から見た地球」の英語版を、現在Youtubeで無料で見ることができます。海賊版ではなく、地球環境についてのメッセージを広めようという意図のもとで製作者が90分強の…

ネットならではの報道コンテンツとは-3

BBCのニュース・サイトでもう一つ印象的なのが、テレビ局のウェブサイトであるにも関わらず、「写真」を非常に重視していることです。もちろん動画のニュースクリップもたくさんあるのですが、BBCのウェブサイトには「In Pictures」というコーナーが設けられ…

ネットならではの報道コンテンツとは-2

(前回からの続きです)BBCの取り組みとしてまず紹介したいのが、先日のインドでの総選挙の報道におけるウェブサイトの使い方です。BBCは、総選挙に向けて3週間近くもインド国内で「選挙列車」を走らせて各地のニュースを集めるという非常に大規模な取材体…

ネットならではの報道コンテンツとは-1

ニュースを扱うウェブサイトの成否は、取材力に加えて記事(アーカイブ的なものを含む)の見せ方にも大きくかかっていると僕は思っています。その観点から、新聞社のサイトはSNS機能や動画ニュースの配信に力を入れ過ぎるよりは自らの強みをより発揮できるよ…

バラエティ・ジャパンが休刊

溜まったメールを読んでいたら、バラエティ・ジャパンが休刊するという知らせが届いていました。サイトにもその告知が出ています。 大変急なご報告になりますが、当バラエティ・ジャパンは5月31日で更新を中止し、6月30日をもちまして閉鎖することとなりまし…

Susan Boyleの動画とネット配信の収益化

スコットランドの"おばちゃん歌姫"Susan Boyleの動画が大きな話題を呼んでからひと月半が経ちます。テレビ番組が持つコンテンツとしてのパワーとYoutubeの配信プラットフォームとしての強力な伝播力が組み合わさった事例だと以前のエントリーで書きましたが…

Huluが進める2種類の国際化

先日、イギリスTelegraph紙のサイトに「Huluが9月にイギリスでサービスを立ち上げる予定」という記事が載りました(こちら)。3000時間分のアメリカのコンテンツを携え、ITVとChannel4をコンテンツ提供のパートナーに迎えてイギリスに進出する、という刺激…

追悼の場として、「オンライン資産」管理の場としてのネットの可能性

先日、「亡くなった忌野清志郎さんを悼むファンの声がYoutube上の彼のクリップに続々と寄せられている」という話を書いてから(こちら)、人の死に対する哀悼の気持ちを表し、交換し、慰めを得る場としてのネットの可能性というものを少し考えるようになりま…

TEDについて-2

前回紹介したTEDの動画を見ていて、2つのことに気づきました。まず、面白い講演というのは、余計な要素を加えなくても話の力*1だけで十分楽しむことができるということ。次に、とは言いながらも、話を聞くだけでなくその講師についての情報(経歴や業績、専…