2008-01-01から1年間の記事一覧

ネット配信のキーワードは「OPQR」

この1年もオンライン・ビデオの世界にはいろいろなことが起きました。このブログではアメリカとイギリスの状況を中心にそんな動きを紹介してきましたが、その中で映像のネット配信をビジネスとして成立させるために必要な要素としていくつかのキーワードが…

HuluのCEO・Jason Kilarのインタビュー

Online Media Dailyのサイトに、HuluのCEO・Jason Kilarのインタビューが出ていました。Kilarのことは以前にも書いたことがありますが(こちら)、純粋なインタビューというのは読んだことがありませんでした。興味深かった点をまとめてみます。まず、オンラ…

BBCがデジタル時代に描くビジョン-2

少し間が空いてしまいましたが、先日の「BBCのデジタルビジョン」に関する話の続きです。前回取り上げたように、BBCがデジタル時代に向けた戦略としてまず打ち出したのは「コンテンツのマルチ・プラットフォーム対応」戦略で、それが具体化したサービスがiPl…

ソニーがネット動画配信サービスの「branco」を打ち切りへ

ソニーは今年の3月に日本でパソコン向けの無料ネット動画配信サービス「branco(ブランコ)」を立ち上げましたが、2009年1月30日でサービスを終了することになったそうです。brancoを運営しているソニーマーケティングによる告知はこちらです。そこでは次…

Huluの動画視聴回数が3か月で2倍に

comScoreが先日、今年10月のアメリカのオンラインビデオ・サイトのトラフィックを発表しました(プレス・リリースはこちら)。動画の視聴回数に基づくランキングで断トツの1位になったのはもちろん「Google Sites」、すなわちYoutubeで、2位に10倍以上の…

日テレと吉本がHuluでもネット配信開始

ひと月ほど前のエントリーで日テレと吉本、電通が共同でJoostを使ってアメリカ国内に向けたコンテンツのネット配信を始めたという記事を書きましたが、同じメンバーが今度はHuluを通じた配信に乗り出しました。日テレのプレスリリースはこちらです。それによ…

BBCがデジタル時代に描くビジョン-1

インターネットや携帯の急速な普及などによって激しく変化しているメディア環境の中でテレビや新聞といった伝統的なマスメディアが生き残っていくためには、会社のトップの役割が極めて重要になります。彼らが描く自社の将来像と、そのビジョンの実現に向け…

バンダイがYoutube上でアニメを多言語配信

日経新聞に、バンダイがYoutube上でアニメの多言語配信に乗り出すという記事が出ていました。海外でのキャラクター商品の販売に結び付けるのが狙いで、まずは自社が権利を持っている「たまごっち」を多言語で配信(日本語と英語の音声に加えて独・仏・スペイ…

BBCが描くネット上の国際戦略

先週、BBCの番組が日本でネット配信されるようになったという報道がありました。日本で映像のネット配信プラットフォームを運営するビデックスのサイト上で有料のダウンロード型レンタルを行うんだそうです(ビデックスによるプレス・リリース)。配信される…

トリビューンの破たん

アメリカの大手新聞をいくつも傘下に持つトリビューンが破たんしたというニュースが大きく報じられています(たとえばCNNの記事)。負債総額は1兆2000億円に上るんだとか。僕はLAにいた時にロサンゼルス・タイムズ紙の記事をよく読んでいただけに(とい…

オバマからのウィークリー・メッセージ

アメリカの大統領は毎週末に国民に向けたラジオ演説を行うのが慣例でしたが、次期大統領となるバラク・オバマはその演説をYoutubeなどの動画サイトでも視聴できるようにするという方針を打ち出しました(関連エントリー)。大統領に就任してから始めるのかな…

Kangarooが抱える課題

前回のエントリーで紹介したように、イギリスで立ち上げの準備が進められている番組のネット配信プラットフォーム「Project Kangaroo」に対して当局から「あまりに独占的な力を持ちすぎて競争を阻害する」という裁定が下りました。これに対してイギリス国内…

Kangarooに降りかかったさらなる難題

企業間の自由な競争を妨げる恐れがあるとして当局からの調査が入っていたイギリスの地上波テレビ局連合(BBC, ITV, Channel 4)によるネット配信プラットフォームProject Kangaroo (仮称)ですが、イギリスの競争委員会(Competition Commission)が結論を出しま…

ネット動画と長尺CMの「まとめ視聴」

Ad Ageに、Huluによる広告実験についての記事が載っていました。Huluは、番組の冒頭に加えて本編の途中に数回30秒のスポットを流すというのを広告の基本パターンとしています。でも一部のコンテンツでは、この基本パターンの他に「2分程度の長尺CMを冒頭に…

IBMのリポート・シリーズ

僕が昨日紹介したIBMの調査結果に特別の注目を払っているのは、それがこれまでIBMグループのコンサルティング部門であるIBM Global Business Servicesによって出版されてきたメディア・エンターテインメント業界に関する一連のリポートの後に続くものだった…

IBMのデジタルメディア調査

つい最近、IBMがデジタル・メディアについての面白い調査結果を発表しました。Hollywood ReporterやMediaPostなどでも紹介されていることから、アメリカのメディア・エンターテインメント業界で一定の注目を集めていると言えそうです。IBMの英文プレス・リリ…

Hulu国際版のターゲット国は

最近のHollywood Reporterの記事に、NBC Universal Internationalの社長Pete Smithがロンドンで行われたカンファレンスで話した内容が紹介されていました。それによると、Huluの国際版立ち上げを計画している国はドイツ、イギリス、フランス、そして日本だそ…

ネット配信事業者はいかにして広告主との関係を築くべきか

いつも読んでいるOnline Spinというブログに、アメリカの動画ネット配信についての興味深い考察が出ていたので紹介します。「Advertisers will not lead online video advertising - They follow」という題名のエントリーです。著者のCory Treffilettiは、Hu…

Huluの収益予測

Financial Timesに、HuluとYoutubeの広告売上を予測する記事が載りました。調査をしたのはArash AmelというScreen Digestのアナリストです。そこでは、Youtubeは今年1億ドル、Huluは7000万ドル程度の広告収入を得ると予測されています。それが、来年には両…

日テレ、電通、吉本がアメリカで番組の無料ネット配信

日経新聞に、日本テレビと電通、吉本がアメリカで番組の無料ネット配信を行うという記事が出ていました。日テレのウェブサイトには、もう少し具体的な内容の書かれたプレス・リリースが掲載されています。それによると、Joostのサイト内に「JAPANESE HUMOR …

オバマとソーシャル・メディア

1週間ほど前に「今回のアメリカ大統領選は『ソーシャル・メディア選挙』だった」という記事を書きましたが、選挙後もオバマのソーシャル・メディア戦略は続いています。「チェンジ」を合言葉に選挙戦を戦い抜いた彼が政権移行に向けて立ち上げたサイトは、…

Kangarooに目指してほしいビジネスモデル

昨日書いたように、BBCから鳴り物入りで移籍してきたCEOのAshley Highfieldが半年も経たないうちに退任してしまったイギリスのオンライン映像配信プラットフォームKangaroo(現在立ち上げ準備中)ですが、先月HighfieldがフランスのMIPCOMに出席した際に(当…

人材の流動性から見るオールド・メディアのネット配信

つい先日のPaid Content UKに、Ashley HighfieldがProject Kangaroo*1からマイクロソフトに移籍するという記事が出ていました。え?Highfieldの今の役職は、Project KangarooのCEOです。しかも、今年の夏に就任したばかり。その前は、BBCのデジタル戦略を統…

SNSと大統領選

アメリカの大統領選は、オバマの圧勝という結果に終わりました。メディア・IT関連のニュースサイトなどにも大統領選を総括する記事などが出ているのですが、インターネットが選挙戦に与えた影響の大きさを指摘するものが多くあります。このブログでも以前、…

配信フォーマットの共通化に向けた動き

1週間ほど前のHollywood Reporterにちょっと気になる記事が出ていました。「Digital-delivery standard in sight」と題された記事で、ハリウッドのスタジオたちの間で映像コンテンツのデジタル・ファイルを配信する際のスタンダードとなる規格を策定するた…

金融危機とコンテンツのネット配信ビジネス-2

前回のエントリーでは世界的な景気低迷が映像コンテンツの無料ネット配信ビジネスに与える影響について書きましたが、経済の悪化とオンライン・ビデオのビジネスの関係を考える上ではもう一つ別の視点があります。それは、「無料配信と有料配信の力関係はど…

金融危機とコンテンツのネット配信ビジネス-1

僕は英米のニュースメディアやブログなどを主な情報源にして映像のネット配信の発展をウォッチしているのですが、リーマン・ブラザーズの破たんをきっかけに金融危機や株安・ドル安などが一気に広まる中、アメリカではオンライン・ビジネスの今後の見通しに…

Huluのサービス開始1周年

2007年10月29日にHuluがサービスを開始してから1年が経ちました*1。TechCrunchにその話題を扱った記事が出ています(英語の元記事はこちら、日本語訳はこちら)。「立ち上がる前はHuluに対して散々な低評価をしていたけれど、実際は予想をはるかに超えるサー…

アメリカのアナログ停波とネット配信

Technobahnに、「テレビのデジタル放送移行に伴うアメリカでのアナログ停波(来年2月の予定)の影響で地上波テレビの視聴者が減少する」という記事が出ていました。ABI Researchという会社の調査結果を紹介したもので、大元のプレス・リリースはここで読むこ…

Huluがサラ・ペイリンのパロディービデオを国際配信

ひと月ほど前のエントリーで、NBCのコメディ番組「Saturday Night Live」で放送されたティナ・フェイによる共和党の副大統領候補サラ・ペイリンの物まねクリップがアメリカで大きな話題を呼んでいるということを紹介しました。この反響に気を良くしたのか、…