オバマとソーシャル・メディア

1週間ほど前に「今回のアメリカ大統領選は『ソーシャル・メディア選挙』だった」という記事を書きましたが、選挙後もオバマのソーシャル・メディア戦略は続いています。「チェンジ」を合言葉に選挙戦を戦い抜いた彼が政権移行に向けて立ち上げたサイトは、その名もCHANGE.GOV(http://www.change.gov/)。最新情報やオバマが掲げる各種アジェンダの紹介などに加えて、人々が持つ選挙戦の体験談やオバマへの期待などを投稿する「Share your story」「Share your vision」といったユーザー参加型の機能も備えられています。

またオバマは、これまではラジオで行うのが通例だった毎週の演説をYoutubeで動画配信するという新たな試みも始めるそうです。Change.govのサイト上からもビデオ演説を見ることができます(こちら)。 さらに、新政権には米政府で初となるCTOを置いて情報技術関連の政策立案・実行にあたらせるそうです(マイコミジャーナルの記事)。

このように、とことんまでソーシャル・メディアを使いこなすというのがオバマ陣営の作戦のようです。「開かれた政権運営」を目指す姿勢には好感が持てますが、本気でそう思っているのかそれともただのポーズなのかということについては、いまいち掴みかねます。こうしたソーシャル・メディアの活用が実際にプラスの方向に働くのであれば、オバマ陣営の手腕やアメリカの民主主義の底力はもの凄いものだと世界に見せつけることになるでしょう(実際、そうなってほしいと思います)。でも、これがもしただの政治的なイメージ戦略に過ぎないのであれば、オバマ任期は就任からそう遠くない時期に急落してしまうかもしれません。大統領就任後はイメージではなく結果が厳しく問われることになるからです。いずれにしても、未だニュー・メディアと呼ばれたりするインターネットですが、もうこれだけ確固としたポジションを主流の世界でも与えられるようになったのだな、とオバマのメディア戦略を見て感じました。