日テレ、電通、吉本がアメリカで番組の無料ネット配信

日経新聞に、日本テレビ電通、吉本がアメリカで番組の無料ネット配信を行うという記事が出ていました。日テレのウェブサイトには、もう少し具体的な内容の書かれたプレス・リリースが掲載されています。

それによると、Joostのサイト内に「JAPANESE HUMOR 〜OWARAI〜」(ジャパニーズ・ユーモア〜お笑い〜)というチャンネルを立ち上げ、そこで日テレの番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」「進め!電波少年」やアニメ「BUZZER BEATER」など、“合計で6タイトル、105本、35時間分”をCMつき無料で配信するというのが計画の概要だそうです。サービスの開始は12月の予定、配信地域はアメリカ限定で、オリジナルの日本語音声に英語字幕をつけて配信するとのことです。

これは非常に面白いアイデアだと思いますが、商業的に成功するのかというとなかなか難しいところがあるように感じます。トーク主体のお笑いは、その国や地域に固有の歴史や慣習、政治、時事問題などに根ざしたネタを取り上げることが多いので、個人的にはそうしたお笑いは言葉を翻訳しただけで文化の壁を超えられるようなものではないと思います*1。「風雲!たけし城」や「料理の鉄人」など、日本のバラエティ番組が欧米で注目されているという話もありますが、それはあくまで番組のフォーマットが注目を集めているのであって、アジア人ばかりが出てくるオリジナルの日本版を吹き替え/英語字幕の付加だけしてアメリカで放送しても人気はでないでしょう。そう考えると、今回配信される番組もアニメを除いては「アメリカ在住の日本人」以外の人々に広くアピールするのは厳しいのではないかという気がします。

でも、こうしたことを実験としてやる価値は大いにあるでしょう。日経新聞の解説*2では、海外向け配信は日本国内向けと比べて権利者の許諾が得やすく、放送とネットの間で自社内の広告獲得競争も起こらないので、まずは海外で広告向け無料配信のビジネスモデル確立を目指すことにしたと書かれています。これは逆に日本国内でのネット配信に対するハードルがいかに高いのかということをも示しているのですが、日本で番組の無料ネット配信を普及させるには「テレビ局+広告代理店+タレント・エージェンシー」の連携が不可欠なので、日テレと電通、そして吉本というチームの今後には大いに期待できそうです。

*1:アメリカのNBCで放送されたサラ・ペイリンのパロディ・ビデオがYoutubeなどを通じて大きな話題になったことをこのブログでも取り上げましたが、それはアメリカの大統領選という世界的な関心事をネタにしたお笑いだったからです。

*2:ウェブ上では記事のリード部分しか載っていないので、上に挙げたリンクからでは解説部分は見られません