Huluの収益予測

Financial Timesに、HuluとYoutubeの広告売上を予測する記事が載りました。調査をしたのはArash AmelというScreen Digestのアナリストです。

そこでは、Youtubeは今年1億ドル、Huluは7000万ドル程度の広告収入を得ると予測されています。それが、来年には両社ともアメリカで1.8億ドル程度の収入と同レベルになるだろうということです。これまで、Huluの広告収入を具体的な数値を挙げて推測していたのはSilicon Alley Insiderぐらいでした(今年の広告収入が最大で9000万ドル程度という推測)。Screen Digestの見込みはそれよりも少し控え目になっていますが、来年にはYoutubeに並ぶ、あるいは追い越すという見立ては、今年6月のCNETの記事にも書かれていたものです。アメリカやイギリスでは、この夏ぐらいから、テレビ番組などプロが制作したコンテンツの方がUGCよりもずっと広告を惹きつけやすいということが広く認識され始めているようです。

ところで、Mediamemoというサイトに、FTの記事にさらに分析を加えている面白いエントリーがあります。その中で筆者は、FTの記事に出てくるScreen DigestのAmelに電話をしてより突っ込んだ話を聞き出しています。それによると、FTの記事で比較されたのはあくまで広告の売上高のことであり、そこから経費を差し引いた収益を比べるとすでにHuluはYoutubeを上回っているとAmelは考えているそうです(今年、Huluは1200万ドル程度の粗利益を出しているのに対し、Youtubeは赤字を出しているという推測)。膨大なトラフィック(=多額の接続費が必要)に対して数%のコンテンツにしか広告がついていないYoutubeと、コンテンツの多く(Amelの見込みでは80%)に広告がついているHuluを比べると、収入面でも支出面でもHuluの方が有利だということですね。最終的に重視されるのは売上高よりもきちんと利益を出せたかどうかですから、この面からもHuluが高く評価されるのがわかる気がします。

そうした状況を理解してかどうか、HuluのCEO・Jason Kilarは、最近こんな強気の発言をしています(Silicon Alley Insiderの記事より)。

Huluには最初ほんのひと握りの広告主しかいなかったが、今では100社以上にまで増えた。収益(revenue)という視点からビジネスを見ると、Huluは我々の予測を大きく上回っている。今の経済状況の中でも、我々のビジネスは非常にアグレッシブに成長し続けている。

この威勢の良さは、このままどこまで続いていくのでしょうか。