ツール・ド・フランスとユーザー作成コンテンツ

今年のツール・ド・フランスも中盤から後半に差し掛かろうとしています。日本のメディアでは日本人選手が2名参加することが報じられていましたが、今年はランス・アームストロングが4年ぶりに現役復帰して大会に出場することでも話題になっています。癌を克服して1999年から2005年までツールを7連覇した、伝説的な選手です。

レースの行方も大いに気になるところですが、今大会ではもうひとつ興味を惹かれる取り組みが行われています。それは、ランス・アームストロングがナイキ社と共同で行っているLIVE STRONGプロジェクト*1の一環として、ネットの世界とリアルの世界を結びつけたユーザー参加型のメッセージ募集キャンペーンを行っていることです。

その仕組みはこうです。NIKEのウェブサイト上にある「LIVE STRONG」コーナーの中(こちら)に、希望や励ましの短いメッセージを募集するページがあります。そこで応募されたメッセージの中から選ばれたものが、Chalkbotと呼ばれる機械によってツール・ド・フランスで使われる道路上に書き込まれるのです。Chalkbotをひと言で説明するは難しいのですが、チョークやスプレーで地面に文字を書くようにあっという間にメッセージを書き込んでいく機械です。動画を見ていただくのが一番わかりやすいと思います。

全部で10万のメッセージを地面に書き込む予定で、採用された場合は道路に描かれたメッセージを写真で見ることができるような案内が来るんだそうです(詳しくはCreativity Onlineの記事を参照)。

すごく面白い取り組みですね。ネットやショートメールなどのメディア上で募集されるキャンペーンとはいえ、自分が送ったメッセージがツール・ド・フランスの道に実際に書き込まれるかもしれない*2というのは参加を促すとても大きなモティベーションになるはずです。特に、自転車レースの人気が高いヨーロッパではこういう取り組みは大いに盛り上がるのではないかと思います。

また、道を即席のキャンバスにしてしまおうというアイデアも素敵です。日本でも、何もない広々とした砂浜を美術館に見立ててTシャツアート展などの催しを行っている「砂浜美術館」などがありますが*3、発想をちょっとずらすことで生み出されたユニークなイベントとネットを組み合わせることで、すごく面白いことができるんだなと感じました。

*1:その名の通り「強く生きよ」といった意味で、癌と闘う人々を応援しています。

*2:もちろんレース後は消されるのでしょうが。

*3:ネットは使っていませんが、こちらも(有料ではありますが)Tシャツの図柄を応募し、それがプリントアウトされたTシャツが海辺に展示され、会期後に送られてくるという一般参加型のとても魅力的な催しです。