バラエティ・ジャパンが休刊

溜まったメールを読んでいたら、バラエティ・ジャパンが休刊するという知らせが届いていました。サイトにもその告知が出ています。

大変急なご報告になりますが、当バラエティ・ジャパンは5月31日で更新を中止し、6月30日をもちまして閉鎖することとなりました。ユーザーの皆様にはお詫びを申し上げるとともに、ご愛読いただきましたことを心よりお礼申し上げます。

バラエティ・ジャパンに出ているニュースはよく参考にさせてもらっていただけに、とても残念です。

僕がこのブログを始めたそもそものきっかけの一つには、VarietyやThe Hollywood Reporterなどを始めとするアメリカのエンターテインメント業界専門紙の存在があります。LAに滞在していた頃、アメリカではメディア・エンターテインメントがひとつの主要産業としてきちんと扱われていて、そこで起きている出来事をカバーする専門紙が業界情報を内外に発信する上で非常に大きな役割を果たしていることを強く感じました。それらは必ずしも翌年の新作映画のラインナップや興行成績、企業の人事情報*1といったことばかりでなく、デジタルテクノロジーとコンテンツビジネスが交わる領域についての記事も沢山載っていました。やがて、ネット上ではその他のソースも含めて本当に多種多様な情報が行き交っていて、こうした情報のかなりの部分は一般人でも自由にアクセスできるようになっていることに気付くようになりました。そんな記事や情報からいろんな刺激を受けるうちに、じゃあ面白そうな話題を紹介するブログを作ってみようか考えるようになったのです。

ちょうどLAではハリウッドの脚本家ストライキがトップニュースになっている頃で、現地にいながら僕は、伝統的な権利ビジネスとデジタル技術を使った新しい配信ビジネスの折り合いをどうつけるのかという極めて重要な争点を抱えたこの問題が日本のテレビや新聞ではほとんど報じられていないことに歯がゆさを感じていました。なので、それと同時期に日本でサービスが始まり、この話題も積極的に取り上げていたバラエティ・ジャパンには大きな期待を寄せていたのです。

実際、本家のVarietyと比べるとやや柔らか系のネタが多いとはいえ、3D映画への取り組みや日本のアニメの海外でのネット配信、ハリウッドのメジャー各社の動向など、エンターテインメント業界のビジネス情報を日本語で迅速に伝えてくれるこのサイトはとてもありがたいものでした。コンテンツ業界に軸足を置きながら芸能ネタやゴシップ路線に走ることなくテクノロジー関連の話題も扱うというスタンスは、他社にはない貴重なものだったと思います。

でも、後発ということもあり、また今の経済状況の厳しさということもあったのでしょうが、そのユニークさは残念ながらビジネス上の成功をもたらす程は評価されなかったようです。日本語で利用できる貴重な情報源がなくなってしまうのは惜しい限りですが、いつかまた復活を遂げてくれることを願います。

*1:ハリウッドでは会社を越えた人の移動が激しく起業も多いので、どのポジションに誰がついたのかを知ることはビジネス上重要になります。