2009-01-01から1年間の記事一覧

伝統的なテレビのビジネスは立ち行かなくなるのか?

少し前のSilicon Alley Insiderに、「Sorry, There's No Way To Save The TV Business」と題された非常に刺激的な記事が載りました(こちら)。そこでは、地上波ネットワーク局やケーブルテレビに支配された伝統的なテレビのビジネスモデルは動画のネット配…

以前取り上げた話題の「その後」

「こんな面白いことが起きてるんだ」と思ってここで紹介したサービスや取り組みでも、忙しかったり他のことに気を取られたりで、その後の動きが十分にカバーできていないことがままあります。今回は、以前に書いたエントリーの中からそんなものをいくつか取…

「公共新聞」の可能性

先日の日経新聞に、アメリカ議会などで検討が始まっている新聞社への支援策についての記事が出ていました(6/9付け「米新聞社に救済論浮上」)*1。このあたりの議論にはあまり詳しくないのですが、経営支援に向けた検討課題として、税制優遇策の導入に加えて非…

Huluとサブスクリプション

Huluが有料のサブスクリプション制を導入するかもしれないという話題を最近よく目にするようになりました(例えばMedia Postの記事など)。具体的な計画が明らかになっているわけではありませんが、全く根拠のない話でもありません。Huluの親会社のひとつで…

映画「HOME 空から見た地球」(英語版)をYoutubeで見る

世界環境デーに指定されている6/5に世界で公開された*1環境ドキュメンタリー映画「HOME 空から見た地球」の英語版を、現在Youtubeで無料で見ることができます。海賊版ではなく、地球環境についてのメッセージを広めようという意図のもとで製作者が90分強の…

ネットならではの報道コンテンツとは-3

BBCのニュース・サイトでもう一つ印象的なのが、テレビ局のウェブサイトであるにも関わらず、「写真」を非常に重視していることです。もちろん動画のニュースクリップもたくさんあるのですが、BBCのウェブサイトには「In Pictures」というコーナーが設けられ…

ネットならではの報道コンテンツとは-2

(前回からの続きです)BBCの取り組みとしてまず紹介したいのが、先日のインドでの総選挙の報道におけるウェブサイトの使い方です。BBCは、総選挙に向けて3週間近くもインド国内で「選挙列車」を走らせて各地のニュースを集めるという非常に大規模な取材体…

ネットならではの報道コンテンツとは-1

ニュースを扱うウェブサイトの成否は、取材力に加えて記事(アーカイブ的なものを含む)の見せ方にも大きくかかっていると僕は思っています。その観点から、新聞社のサイトはSNS機能や動画ニュースの配信に力を入れ過ぎるよりは自らの強みをより発揮できるよ…

バラエティ・ジャパンが休刊

溜まったメールを読んでいたら、バラエティ・ジャパンが休刊するという知らせが届いていました。サイトにもその告知が出ています。 大変急なご報告になりますが、当バラエティ・ジャパンは5月31日で更新を中止し、6月30日をもちまして閉鎖することとなりまし…

Susan Boyleの動画とネット配信の収益化

スコットランドの"おばちゃん歌姫"Susan Boyleの動画が大きな話題を呼んでからひと月半が経ちます。テレビ番組が持つコンテンツとしてのパワーとYoutubeの配信プラットフォームとしての強力な伝播力が組み合わさった事例だと以前のエントリーで書きましたが…

Huluが進める2種類の国際化

先日、イギリスTelegraph紙のサイトに「Huluが9月にイギリスでサービスを立ち上げる予定」という記事が載りました(こちら)。3000時間分のアメリカのコンテンツを携え、ITVとChannel4をコンテンツ提供のパートナーに迎えてイギリスに進出する、という刺激…

追悼の場として、「オンライン資産」管理の場としてのネットの可能性

先日、「亡くなった忌野清志郎さんを悼むファンの声がYoutube上の彼のクリップに続々と寄せられている」という話を書いてから(こちら)、人の死に対する哀悼の気持ちを表し、交換し、慰めを得る場としてのネットの可能性というものを少し考えるようになりま…

TEDについて-2

前回紹介したTEDの動画を見ていて、2つのことに気づきました。まず、面白い講演というのは、余計な要素を加えなくても話の力*1だけで十分楽しむことができるということ。次に、とは言いながらも、話を聞くだけでなくその講師についての情報(経歴や業績、専…

TEDについて

日本でどれほど有名なのか詳しく知りませんが、ネット上の動画配信と公共性のことを考える際にいつも思い浮かぶサイトのひとつにTED(Technology Entertainment Design)があります。ここは元々、科学者から芸術家、起業家、政治家まで、超一流の思想家やアク…

「どローカルなジャーナリズム+ネット」は新聞の武器になる-2

最近取り上げた南カリフォルニアの山火事はほとんど沈静化したようですが、山火事による避難指示エリアや道路封鎖、避難所の場所などを刻々と更新し続けたLA TimesによるGoogle Mapsの地図には、いくつもの感謝のコメントが寄せられています。 一部を引用し…

追悼 忌野清志郎

今晩はずっと、亡くなった忌野清志郎さんのことを考えていました。曲を聴いたり、昨日の告別式についての記事を読んだり、テレビの追悼番組を見たり、ネットでいろんな情報を検索したりしながら。清志郎の死は各方面で反響を呼んでいるようですが、僕も彼の…

ネット配信と「国際化のパラドックス」

New York Timesの記事にちょっと気になることが書かれていました。"In Developing Countries, Web Grows Without Profit"という4/26付けの記事です。「FacebookやYoutubeなどはさまざまな国のユーザーに使われることによって世界的なブランドになった。でも…

「どローカルなジャーナリズム+ネット」は新聞の武器になる

「新聞は、伝統的な強みである取材力や記事の蓄積とウェブ上にふさわしい情報の"見せ方"を組み合わせることで良質なネット・コンテンツを生み出すことができるはずだ」というエントリーを以前に書きました(こちらを参照)。ここに「どローカルな視点」が加…

Disney-Hulu連合のインパクト

DisneyがHuluに参加することになったというニュース(昨日のエントリーを参照)はアメリカのメディア業界でも大きな話題になっていて、この件についての意見や分析がいろいろな記事やブログに載っています。それらを参考に、DisneyとHuluが手を結んだことが…

DisneyがHuluに参加

ひと月ほど前に、「DisneyがHuluに出資してコンテンツを提供する交渉が進んでいる」という話を書きましたが(こちら)、その交渉がまとまったようです。Disneyが、傘下のABC Enterprisesを通じてHuluに参加することになりました。HuluのCEO Jason Kilarによ…

ショート・フィルムとネット上のプロモーション活動

PHILIPSが自社の薄型テレビを宣伝するために流しているCMがちょっとした話題になっているようです。Adam Bergという人が監督した「Carousel」*1という2分ほどのショート・フィルムがそれです。Youtube上にもいくつか動画がアップされていますが、本家のPHIL…

Flashがテレビで見られるようになると

Adobeが、ラスベガスで開かれているアメリカの放送局の一大イベントNAB Showで、Flashの技術をネット対応テレビやセットトップボックスなどに組み込んでいくと発表しました(CNET Japan, New York Timesの記事などを参照)。Intel、Comcast、Disney Interacti…

Youtubeをめぐる2つの動き

Youtubeのビジネスとしてのポテンシャルを感じさせる2つの出来事が相次いで起こりました。まず、Youtubeが昨年の秋から始めていたテレビ番組などの配信を大幅に拡充するという動き。Cnet Japanの記事によると、Youtubeは新たにSony PicturesやLionsgate,MGM…

NYTのInteractive Graphics

先日、New York Timesのウェブサイトにあるグラフが新聞社の取材力とデザイン性を兼ね備えたネットならではのプレゼンテーションになっているという話を書きました(こちら)。その際に取り上げたのはアメリカの映画の興行収入を潮の干満に見立てて表したグ…

Screen DigestがHuluの広告収入を下方修正

昨年11月に、Screen DigestのアナリストArash AmelがHuluの広告収入見通しを発表したというエントリーを書きました(こちら)。Huluの2009年の広告収入は、Youtubeのそれに並ぶ1.8億ドル程度になるだろうという予測です。でも、最近のBusiness Weekに出た記…

新聞業界が目指すべきウェブ・サービス

New York Timesのウェブサイトで、偶然面白い図表を見つけました。"The Ebb and Flow of Movies: Box Office Receipts 1986 ― 2008"と名付けられたものです。直訳すると「映画の満ち干き」。名前の通り、映画の興行収入を潮の干満になぞらえてグラフ化したも…

米国のケーブルテレビ業界が思い描くネット配信の姿-2

ここ1週間ほどの間に、New York Times("Some Online Shows Could Go Subscription-Only")とLos Angeles Times("Internet's role in cable TV debated")が相次いでケーブルテレビ業界の動画ネット配信についての記事を掲載したのをみて、この話題がアメリカ…

DisneyがHuluと出資交渉

Paid Contentの記事に、「ABCがHuluに番組を提供する代わりに資本参加する」という交渉をしているという話題が出ました(日本語ではCNET Japanの記事などを参照)。匿名の"事情に通じた情報源"からのネタということで、どちらかの会社が公式に認めたような話…

米国のケーブルテレビ業界が思い描くネット配信の姿

最近のエントリーで紹介したとおり(こちらとこちら)、HuluとBoxeeのいざこざに見られるようにアメリカの主流メディア、特にケーブルテレビ業界はネット配信されるコンテンツがテレビ画面で視聴できるようになることに強い警戒心を抱いています。有料のサブ…

経済危機と動画のネット配信ビジネス

Economistに、現在の経済危機がネット上のフリー・エコノミーに与える影響を分析する記事(The end of the free lunch―again)が出ていました。多少自分なりの解釈も込めて訳すと、大まかに次のようなことが書かれています。「現在の経済危機により、ウェブ上…