音楽と仮想ペットとソーシャルゲーム

THE SECOND TIMESに載っていたFacebook上の「音楽系ペットアプリ」についての記事を読みました。

"音楽を聴くと元気になる音楽系ペット育成Facebookアプリ「Music Pets」"

普段こうしたゲームというのはあまりやらないのですが、音楽と仮想ペットの組み合わせというところに心を惹かれて試してみることにしました。アプリ自体はものすごく面白いというものではありませんでしたが、そこから「こんなサービスがあればいいのにな」というアイデアがいろいろと沸いてきました。取りとめのないつぶやきのようなものですが、140文字には収まりそうにないので、エントリにまとめてみました。

「Music Pets」のページはこちらにあります。
http://www.facebook.com/musicpets

Facebookにログインしてこのアプリを開くと、ちょっと可愛いような気持ち悪いような数種類のキャラクターが現れます。その中のひとつを選び、住む場所(背景のデザインが異なる)や名前、好きな音楽(アーティスト名などで指定可)などを設定すると、それがFacebook上での自分の仮想ペットになります。

このペットは音楽を聴くのが大好きです。でも、新しい曲を加えるにはいろいろな制約があります。好きなアーティストを指定するにはペットが一定以上の「レベル」になっていないといけませんし、今のプレイリストを参考にペット任せで新曲を取って来てもらうとペットの「エネルギー」が減ります。それを回復させるには仮想コインを使って食事を買わないといけませんし、殺風景なペットの部屋を飾り付けるにもいろんなアイテムを買う必要があります。この仮想コインは最初に少しだけ持たされていますが、よりいろんなことをしようと思うと実際のお金を払ってコインを購入しなければなりません。このアイテム課金制が「Music Pets」の収益源のようです。

個人的な感想ですが、「着眼点は良いけどまだるっこしいな」というのが、30分ほどいじってみたこのゲームの印象です。まず、音楽とペットをウェブ上で組み合わせたのはすごく良いアイデアだと思います。アプリ上で音楽を検索して聴くことができるという点や、ペットのことをFacebook上でいろいろとつぶやいたり友人に紹介したりできるという点もいいところをついています。でも、操作が結構面倒臭いところや、音楽系のアプリであることを謳っていながら最初に選んだ曲以外のお気に入りの曲がなかなか聴けない(上に挙げたような理由による)ところは、ゲーム好きでないユーザーにとってはかなりのマイナス要因になるのではないかと感じられました。例えば開始時に行われるゲームの進め方のインストラクションなどは、双方向的なものにはなっていましたが、自分の場合それをやっているうちに半分ぐらい関心が薄まってしまいました。また、エネルギーがゼロになると音楽を聴くことすらできなくなるというのはかなりストレスを感じます。餌を買い与えたり部屋の飾り付けをしたりといったことは要らないから、もっと純粋に、そして手軽に音楽と仮想ペットを組み合わせたソーシャル・ゲームだったらもっと良かったのに、と思いました。

ここから先は技術的な制約などを完全に度外視した空想の世界になりますが*1、僕があれば良いなと思ったのは、「音を"食料"にして仮想ペット(もしくはアバター)が育つゲーム」です。「Music Pets」では音楽を聴かせるとペットが元気になるだけでしたが*2、それだけではなくて例えば「たまごっち」のように成長していってくれるゲームです。しかもそれは「Facebookにログインしてアプリを立ち上げ、そこで聴いた音楽に反応する」だけのものではなく、PandoraのようなウェブサービスiTunesなどでかけている音楽にも反応してほしいですし、理想を言えばネットとつながっていないCDプレイヤーやテレビの音声、さらには人の話し声などにも反応するようであれば最高です。そして、ニュースのような話し言葉ばかり聞いていると文学青年のようになり、スカやソウル音楽をたくさん聴かせるとゴキゲンなキャラクターに育つ、というように、周囲のあらゆる音に反応して仮想ペットが育っていくと面白いなと思います。

そうなると、パソコン上だけ、あるいは携帯上でそのゲームを「オン」にしている時だけしか動作しないのではちょっと物足りなくなるかもしれません。さまざまな音を「餌」にするのであれば、自分が起きている時の大半は仮想ペットにも起きていてほしくなるでしょう。だとすると、家に帰っても携帯を充電している時にはゲームもオンになっていて音を判別するとか、そういう機能が必要です。もしくは、人が自宅と外を行き来するようにその仮想ペットにも「家」を用意し、出かける時にはiPhone上で連れて行き、帰宅してからはその「家」に仮想ペットを戻してそこで自宅の音や音楽を聴かせるとか。最近とんと話題を聞かなくなってしまったChumby(公式サイトはこちら)などであれば、無線LANも備えているし、そういう役割を果たすことも可能なのではないかという気がします。

バーチャルな世話焼きが必要な仮想ペットよりも、ともに連れ歩くことでそこで出会う音を糧に成長し、時々聞いた音や音楽を判別してTwitterなどでつぶやいてくれるような仮想ペットもしくはアバターのゲーム。それは、その人の音楽の好みやその人を囲む音の景色がそのままペット(もしくはアバター)のキャラクターに反映されるゲームになるはずです。夢物語かもしれませんが、そんなものがあればすごくやってみたいなと思います。

<追記2/27>
日本レコード協会による音楽メディアの利用に関する調査結果が最近発表されました(CNET Japanの記事などを参照)が、音楽を楽しむためのサービスとしてはYoutubeを利用すると答えた人がテレビを上回り、普段利用している音楽機器としてはパソコンを挙げたユーザーが6割近くに達してトップに立っています。だとすると、パソコンとiPhone上で再生される音楽だけを対象にした仮想ペットでも面白いものができるかもしれません。

*1:もしくはこういうものはもう既に存在するのかもしれませんが。

*2:レベルが上がるともしかしたら別のこともするようになるのかもしれませんが。