報道系コンテンツとグローバルなネット配信

前回のエントリーでは、CBSの看板報道番組「60 Minutes」がウェブ上で日本からも見られることを紹介しましたが、テレビ局が放送する番組でも、こうした報道系のコンテンツは地理的なアクセス制限をかけずにネット配信されることがしばしばあります。

例えば、同じくアメリカのABCのニュース・サイトには動画視聴に特化したページがあり、そこではストレート・ニュースに加えて「Nightline」のような報道番組を視聴することもできるようになっています。「Nightline」の場合は、番組まるごとではないようですが、アカデミー賞を前にしたケイト・ウィンスレットのインタビューなども載っています。

また、2/6付け毎日新聞の記事に取り上げられていたように、BBCで放送された感染症関連の特集番組「Survival」は、各エピソードを10〜15分程度に編集したダイジェスト版を英・仏・独・日の4ヶ国語で制作してネット上で公開しています(日本語版のサイトはこちらです。)。

知る権利と密接に結びついている報道の分野では著作物の引用が認められているため、以前から動画でもストレート・ニュースは比較的グローバルなネット配信の敷居が低い分野でした。でも上に挙げたようなケースが示すように、対象を1〜2分程度のストレート・ニュースから報道系の番組に広げることができれば、ネット上で国境を気にせず視聴できるコンテンツの幅と深みが一気に広がります。

これは、ビジネスの問題であるとともに公共性の問題でもあります。こうしたコンテンツに広告をつけて収益源にしようという考え方も当然あるでしょうが、一方で報道機関であるメディアが取材・制作したコンテンツは、それが文字であろうが写真であろうが動画であろうが、国境にとらわれることなく世界の人々に知ってもらう価値のあるものが多く含まれるはずだからです。重要なのは、コンテンツの取材・制作のみならず発信面についてもジャーナリズム精神と地球規模の視点を併せ持つことができるかという点でしょう。それができるメディアにとっては、ネット上で動画コンテンツを配信するという手段は世界中の人々にメッセージを伝える非常に有力な手段となるのではないかと思います。