週刊東洋経済の特集記事

今週号の週刊東洋経済に出ていた日本のテレビ・メディア業界の特集が面白かったので紹介します。「テレビ・新聞陥落!」と題された記事です。

週刊 東洋経済 2009年 1/31号 [雑誌]
週刊 東洋経済 2009年 1/31号 [雑誌]
東洋経済新報社 2009-01-26
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メディア・ビジネスの動向を知ろうとする場合、新聞やウェブ上のニュース・サイトだとどうしても次々と起こる出来事の紹介が中心になり、かといって新書などで出版されたものでは最新の動きがカバーし切れません。その点、ウイークリーで出版される経済雑誌の特集はタイムリーな話題をそれなりのボリュームで取り上げてくれるので、情報を整理する上でも分析の視点を参考にするという点でも結構便利です。テレビや新聞に加えてグーグル、ゲーム業界など、広い意味でメディア・エンターテインメントに関わる話題は週刊ダイヤモンド日経ビジネスなどでも意外と頻繁に扱われていますが、今回の東洋経済の記事は僕が普段感じていることと近いスタンスで書かれていたので特に興味を持ちました。

企業の広告費が大幅に削減される中でCMに依存するテレビや広告代理店の収益が急激に悪化している。そして新聞はもっと危機的な状況にある。それは、2007年の末頃から言われてきたことです。東洋経済の記事では、それが今どれほど深刻な状況にあるのかを分析しています。さらにここでは「頼みのネットでも稼げない」とメディア企業のネットビジネスの可能性にも否定的な見方をしています。

確かに、オールド・メディアがネットを在りし日のテレビや新聞のような「金の小槌」にするのは非常に難しいでしょう。でも、コンテンツへのアクセスや利用に対するコントロールがメディア企業からユーザーに移る中、マスを対象にして一方的に情報やコンテンツを送りつけるという伝統的なビジネス・モデル自体が機能不全に陥っているのも事実です。ネットは、「オイシク稼ぐ」ためのツールではなく、「激変する環境の中で生き残る」ために必須のプラットフォームであると捉えるべきなのです。そう考えると、生き残りの可否を決めるのはネット展開をするかどうかではなく、どのようにネット展開をするのかだということが見えてきます*1東洋経済の記事を読む限り、日本のオールド・メディアはそのあたりの意識がまだ低いのかな、と感じましたが、いずれにしても今の日本のメディア企業が置かれた状況を知る上で示唆に富む読み物だったと思います。

*1:「どのようにネットを活用すべきか」ということに対して僕が今持っている考えは、以前のエントリーで述べました