Appleの新たな動画配信計画
Appleがサブスクリプション方式のネット動画配信に乗り出そうとしていると報じられています。情報の大元はWall Street Journalの記事(こちら)ですが、ここは登録していないと全文表示しないので、Financial Times("Apple looks at internet TV foray")やZD NET("Apple's push into subscription TV: Why it will be a tough sell")などが参考になるかと思います。
それらによると、AppleはCBSやディズニーなどと交渉してネット上でテレビ番組のサブスクリプション配信サービスを立ち上げようとしているとのこと。そしてこれは当然、来春にも発売ではないかと言われているAppleのタブレット型PCとも連動しているはずだと予測されています。
先日、電子ブックリーダーの多機能化に期待したいと書きましたが(こちら)、それはアプローチの方向こそ違えどタブレット型のコンピュータに動画や写真、本などいろいろなファイルを再生させる機能を持たせるということでもあり、Appleが狙っているのはそこなんだろうなという気がします。多機能のデバイスと単機能のデバイスの長所と短所を考察するBusinessweekの"When less is less"という記事を最近読んだのですが、そこで「ひとつの機能しか持たない電子機器は、その機能に本当に優れていないと生き残れない(Electronic devices that do only one thing must do them especially well if they hope to survive.)」と書かれていたように、やはり大きな流れとしてはポータブルな総合ビジュアル端末という方向に進んでいくのではないかと感じます。
それにしても、Appleがこのタイミングでサブスクリプションの配信サービスに乗り出すというのも思い切ったことをするものだと思います。映画ではNetflixがDVDレンタルに加えてネット配信にも取り組んでいますし、テレビ番組ではこのところComcastなどケーブル・オペレーターによる「加入者オンリー」のネット配信サービスを推し進めようとしているところです。また、ネット配信ということだけであればドラマなどの最近のエピソードはABCやCBSのウェブサイトで無料で視聴できます*1。iTunesという単品販売の一大拠点を押さえてはいるものの、Appleがサブスクリプションを始めることになればこれらのプレイヤーたちとまともにぶつかり合うことになるでしょう。想像でしかありませんが、iPodやiPhone、タブレットといった携帯端末とサブスクリプション制度を組み合わせることで勝機があると考えているのか、またはサブスクリプションに動画だけでなく音楽も含めるなど、ケーブルTVやNetflixにはない強みを発揮しようとしているのか。Appleが打ち出そうとしているネット配信のビジネスモデルにとても興味を惹かれます。