サラ・ペイリンとオンラインビデオ

アメリカ大統領選でいま最もホットな人は、オバマでもマケインでもなくサラ・ペイリンでしょう。共和党の副大統領候補に指名されて以来、彼女はメディアからも視聴者からも大きな注目を集めています。

例えば、ABCがアメリカの主要TVネットワークの中で初めて行ったペイリンへの単独インタビューは、テレビ上でおよそ3500万人に視聴されたそうですが、それと同等、もしくはそれ以上の人がYoutubeをはじめとするウェブ上に勝手にアップされた映像を見たと推定されています(Silicon Alley Insiderの記事)。

ABCは必死になって不法にアップロードされたペイリンへのインタビューの動画をYoutubeから取り除こうとしている。しかし、Tubemogulのデータによれば、インタビューのクリップは先週からYoutubeで3560万回も視聴されている。毎時間、何十もの不法クリップが排除されてる一方でアップもされている。

このインタビューは今月12日に放送されたものです。ABCは自社のニュース・サイトでもちゃんとインタビューのクリップを流している*1のですが、Youtube上の海賊版クリップを見た人のほうがずっと多かったようです。13日付のSilicon Alley Insiderのエントリーによれば、その時点でABC.com上ではインタビューが60万回視聴されたそうですが、Youtube上では280万回にも上ったとのこと。画面上に「ABC NEWS Exclusive (ABCの独占映像だということ)」というテロップが誇らしげに載っている映像が堂々とYoutube上に流れて、しかも視聴者の多くがそちらを選んでしまったのですから、皮肉なことです。オンラインビデオにおけるYoutubeの存在感の大きさを示す出来事だと言えます。

そんな状況ですから、NBCのコメディ番組「Saturday Night Live」で放送されたペイリンとヒラリー・クリントンの物真似寸劇のクリップが、Youtube上(これも勝手にアップされた物です)よりもNBCのウェブサイト(子会社のHuluを含む)上でより多く視聴されたといったことも「驚きだ!」としてひとつの話題になってしまいます(同じくSilicon Alley Insiderの記事より)。こちらのクリップもYoutube上ではNBCとユーザーたちのいたちごっこが続いているようですが、いま僕がYoutube上で検索した感じでは、ほとんどのクリップは1〜2分程度の不完全なもので(本当は全部で5分半ぐらいあります)、画質もあまり良くなさそうなものも含まれていました。

この物真似劇は、Huluの「Most Polular Clips」*2ページの一番上に表示されるほど人気があるのですが(9/18現在)、残念ながらHulu上では外国からのアクセス制限がかかっているので見ることが出来ません。でも、不思議なことにNBC.comの「Saturday Night Live」ページに行くと、ブロック無しに日本からでも見ることができるんです。*3役者(芸人?)が演じているペイリンは見かけもそっくりだし、仕草を見ているだけでも面白いので、ちょっとお薦めのクリップです。

<追記 9/19>
Hollywood Reporterによると、このパロディ・ビデオはNBC.comで史上もっともよく見られたビデオになったそうです。

*1:このクリップは、ABCのサイト上で日本からでも見ることが出来ます。一般的に、ニュース映像についてはウェブ上で配信される場合でも国境によるアクセス制限がかかっていないことが多いです

*2:「クリップ」というのは、通常数分程度の短い映像のことを指します。

*3:僕も知りませんでしたが、この番組のサイトでは短めのクリップをいくつか、国外からのアクセスもOKという形で公開しているようです。物によっては視聴できないクリップもありますので、どういう基準で公開するエリアを決めているのかはわかりません。