日本のテレビ局が提供するオンラインの番組情報

昨日のエントリーを書いた後、じゃあ日本のテレビ局はどんな形で番組情報(メタデータ)をネット上で提供しているのかということがもう少し詳しく知りたくなってきました。番組自体のオンライン配信に関してはいろいろな「制約」があって日本はアメリカやイギリスに3〜4年は遅れていますが、番組のメタデータをウェブ上に載せるということに関しては著作権の制約だとかビジネス上のしがらみといったことにとらわれる心配はないはずです。NHKと民放キー局のウェブサイトを覗いてみることにしました。

昨日紹介したBBCメタデータ・プラットフォームBBC Programmeは、「全ての番組について」「ずっと残る」番組情報を一元化して集約し、それを「見つけやすい」形で提供するウェブ上のデータベースを作り上げるという点がポイントでした。また、ここでは「アルファベット順の番組名」「番組カテゴリー」「番組表」から選んで、新旧関わらず番組情報を探すことが出来ました。

僕が見た限りでは、NHKと民放5局の中で過去に放送した番組を含む「番組一覧」のページを持っているのはフジテレビだけでした。(そんなに入念なチェックをした訳ではないので漏れがあるかもしれませんが)。フジテレビの「番組一覧」ページから過去の番組を探してリンク先に飛ぶと、番組紹介、放送終了日、キャスト、そして最近のものについては番組ウェブサイトへのリンクなどがまとめられているページに行きます(例えば、「のだめカンタービレ」のページはこんな感じです)。すっきりしていて非常に見やすいデザインになっています。

日テレやTBS、テレ朝は、例えばトップページから「ドラマ」のページ(日テレテレ朝)に飛べば過去に放送したドラマについての情報も見ることが出来ます。また、TBSの「ドキュメンタリー」ページでも過去の作品へのリンクがたくさん貼られています。でも、いずれの局でも番組ジャンルを超えて自社の番組情報を集約したページというのは見当たりませんでした。

一方、NHKには50音順の番組一覧というページがありますが、ここでは過去の番組へのリンクは貼られていません。過去に放送されたドラマやドキュメンタリーその他の番組情報が知りたければ、やはりジャンル別に区分けされた「ドラマ」ページなどを掘り進んでいかないといけません。

ジャンル別に番組情報をまとめることは、決して悪いことではありません。妥当な整理法だと言えるでしょう。でも、それに加えてジャンルや新旧を問わず全ての番組のメタデータにアクセスできる入口となるページを作っておけば、さらにわかりやすく、使いやすくなるのではないでしょうか。その意識が一番強いのがフジテレビと言えるのかもしれません。ただ、惜しいことにこのフジテレビの番組一覧は、トップページからだと行き方が非常にわかりづらいのです(Googleで「フジテレビ 番組一覧」と検索するとすぐに出てくるのですが)。トップページに「番組一覧」というボタンはなく、「ご意見」→「番組にメッセージを送る」と進んではじめて番組一覧のページにたどり着きます。番組一覧を見るためにこういう進み方をすればいいはずだと思いつく人はあまり多くないでしょう。決して「見つけやすい」形になっているとは言えません。

新作も旧作も、ドラマもニュースもバラエティも全てが自社の映像資産であるという発想に立てば、「全ての番組について」「ずっと残る」番組情報を集約して、それを「見つけやすい」形で提供するウェブ上のポータルを作り上げることは至極合理的なことなのではないかと感じられます。でも、残念ながら今の日本のテレビ局は、あまりその必要性を感じていないようです。