オンラインビデオの収入見込み(全世界)

最近のエントリーで、アメリカにおけるオンラインビデオの広告収入見込みが下方修正されたという話を紹介しましたが、同じくeMarketerから、今度は「全世界のオンラインビデオの収入見込み(広告、有料販売ともに含む)」についてのデータが発表されました(eMarketerのサイト)。

今回の数字は、異なる2つの調査会社が発表した数字をeMarketerがまとめたものです。ちょっと見てみましょう。
まずはIn-Statsの予測から。

そして次はBernstein Researchの予測。

2008年も2012年も、後者の方が倍以上の収入を予測するほど値が大きく隔たっています。調査方法の違いや、その他予測値を計算する際の変数の違いなどによるずれもあるでしょう。また、対象が「全世界」なだけに、各地・各国でどれほどオンラインビデオが普及するかについての見込みも両社で違っているのだと思います。とはいえ、専門家の間でもこんなに見通しが違うんだなあというのが率直な感想です。ちなみに、最近紹介したeMarketerによる「アメリカのオンラインビデオの広告収入見込み」は、対象がアメリカだけであること、そして広告収入に限った見込みであることを考えると、In-StatsよりもBernstein Researchの予測値との整合性が高い値になっているように見受けられます。

「こんなに食い違いがあるのなら予測値が出てもあてにはできないな」という印象を強めてしまいかねないeMarketerの記事ですが、でも逆に「これだけずれがあるんだよ」ということも含めたリポートを発表してくれることにより、ある特定の数字だけが重視されて一人歩きすることを防ぐことにもつながっているのかなという気もします。動きの早いネットビジネスの世界で、将来の成長度合を正確に予測するなんていうことはほとんど不可能です。だとしたら、いろんな予測を比較しながら、それらを参考にして自分なりの目安を打ち立てていけばよいのかな、と思います。もちろんその目安も、状況の変化や新しく得た情報などによってどんどん変わるものです。いろんなデータを読み込むことで、そういう「目利きの力」を養っていければよいなと思います。