デジタル技術とコンテンツ製作

ソニー・ピクチャーの子会社でCGや映像効果を専門に行うImage Worksという会社を訪れてオペレーション担当のVice Presidentに話を聞く機会がありました。ここは、「スパイダーマン」「スーパーマン」「スチュアート・リトル」「ベオウルフ」などの映画で特殊加工を担当してきた、ハリウッドでも最先端を行くビジュアル・エフェクトのスタジオです。CGやアニメーション、人の体に200個以上のセンサーを取り付けて動きをデータに取りこむ”モーション・キャプチャー”と呼ばれる最新の技術などを駆使しながら映画のシーンを作り上げていく様子は圧巻でした。

近年ハリウッドで作られる映画の70〜80%には、何らかの形で特殊効果が使われているそうです。派手な映像を売りにしたアクション映画やファンタジーだけでなく、一見特殊効果とは縁が薄そうなヒューマン・ドラマなどでも普通に見ているだけではまず気づかないようなところで映像が加工されていることがしばしばあるとのことでした。

このブログは、デジタル技術、特にインターネットがコンテンツの配信に及ぼす影響について考えてみようと思ってはじめたものです。でも、今日のこの訪問では、デジタル技術がコンテンツの製作に与えるインパクトを直に感じることができました。ハリウッドは、コンテンツの配信にデジタル技術を活かすこと(=オンラインVOD)にはとても警戒していますが、製作に取り入れることについてはとても積極的なようです。デジタル技術が可能にする新たな映像表現も、新たな配信方法も、どちらもハリウッドにとってビジネス・チャンスになり得るものだと僕は思うのですが、実際はそのようには進んでいないようです。