FOXの新番組プロモ戦略

FOXが、今秋始まる一部番組のシーズン・プレミア(初回特別編)を、テレビとウェブで同時に流すことにしたそうです(Varietyの記事)。ちなみに、これまでアメリカのネットワークTVがテレビで放送した番組をウェブに載せるのは、大抵の場合放送の1日後でした。このキャンペーンの対象になるのは、"Terminator: The Sarah Connor Chronicles" や"Fringe"といった人気番組です。

面白いことをやるなあと思って記事を読んでいたら、実はこれは広く一般に向けて行うわけではありませんでした。末尾が「.edu」という、アメリカで教育機関を示すドメインからアクセスをした場合のみ視聴できるようにするんだそうです。具体的には、大学のキャンパスや寮などでパソコンを使う学生がターゲットだということです。

彼らは、こうした番組の主要ターゲットであり、一方でネット上にある不法アップロードされたコンテンツを熱心に視聴する層でもあります。だから、学生に限って合法的なオンライン配信の間口を広めてそっちに取り込んでいこうというのがFOXの狙いです。

若者層のPiracyを減らしたいという思いはよくわかりますが、あえて対象を制限してウェブ配信の開始時期を早めるというのは中途半端な作戦だなという感も受けます。特に、シーズン・プレミアというのは「これから面白い番組が始まりますよ」という宣伝的な意味が強いもので、前シーズンを見ていなかった人や内容を忘れてしまった人たちのためにこれまでのストーリーや登場人物の関係などをおさらいするという役割も担っています。だとすれば、学生のみに限定するのではなく、全ての人に対してテレビとウェブで同時に流せばいいのではないでしょうか。