アメリカのIPTV普及予測

eMarketerに、アメリカのIPTVの普及具合を予測する記事が出ました。つい最近まで僕がいたアメリカでは
AT&T,Verizonといった通信会社がIPTVのサービスを積極的に売り込んでいました。2500万世帯近い加入者を持つケーブルテレビのComcastなどと比べるとまだまだだなと感じていましたが、この記事によれば、VerizonのFios, AT&TのU-verseともこれから急成長が見込まれているようです。

     2007年 → 2012年
Fios     90万     660万
U-verse   20万    550万 

これ以外の「その他」は2012年でも加入者が60万しかないと予測されているので、アメリカではVerizonとAT&Tが圧倒的なシェアを持ち続けることになるのでしょう。

ところで、日本に帰国してから新聞などでIPTV関連の記事を読む機会がしばしばありますが、IPTVという語の定義があいまいでそれが何を指しているのかがわかりづらい時があります。アメリカなどでは、「IPTV」と「インターネット・テレビ」は厳密に使い分けられています。IPTVと言えば基本的に「閉じた」IPネットワークで番組を配信することを指し、Youtube,Hulu,BBCのiPlayerなどパブリックなインターネットを介して番組を配信することはIPTVに含まれません(区別をする場合、こちらをインターネット・テレビと呼びます)。でも、日本では後者を含めた形でIPTVを捉えているような記事も見受けられます。例えば朝日新聞のこの記事。まずアメリカの3大ネットワークが行っている「インターネット・テレビ」の普及を指して『IPTVサービスが広がりつつある』とした上で、次の段落では一転してアメリカやフランスにおける(純粋な意味での)「IPTV」の加入者数を挙げています。

例えば日経BPIT Proに乗っている用語解説では、IPTVには「広義」と「狭義」の捉え方があって、広義に捉えると『インターネットを介して映像を配信するサービスすべてを指す』と説明しているので、朝日新聞の紹介の仕方も間違いだとは言えないのでしょう。とはいえ、非常に紛らわしく、理解しづらい記事だと感じます。

一方、NTT Communicationsのサイトでは、非常に明快にIPTVとインターネット・テレビを区別して説明しています。また、2006年と作成されたのは少し古いですが、マルチメディア振興センターと三菱総研がまとめた「IPTVの動向」という資料では、IPTVでの地デジ再送信、IPTVの独自サービス、インターネットTVなど、もっと細かいレベルにくぎってそれぞれの特徴にも触れられています。「IPTVって結局何?」と混乱されている方は、このあたりを読むと良いのではないでしょうか。